2007里美キャンプボランティア体験記

32回生父 江口 洋康

「おやじ、恥ずかしいからキャンプ来ないでね。」そう言う年頃になったのかなと思いつつ、ボランティア参加を決意したのにはある理由があったのです。
父母会のホームページに29回生の里美キャンプのボランティア体験記が掲載されていたのを拝見し、キャンプ好きな私は、「これは楽しそうだ。行ってみる価値あり」と思っていました。ただ、仕事のこともあり参加には戸惑いがありました。しかし、この里美キャンプは茗溪学園生活6年間で1回しかありません。私は学校行事の様子や、子供たちの生き生きした姿を見てみたいという気持ちになり、里美キャンプの参加を決意しました。これから2007年9月10日~12日の3日間行われた里美キャンプで体験したこと感じたことを綴ってみたいと思います。
 出発式の時からすでに小雨が降っていました。キャンプ場に近づくにつれ雨脚はひどくなり雷鳴まで聞こえる始末です。これからどのようなドラマが始まるのか期待と不安の中、我々はキャンプ場に到着しました。
おかあさんボランティアは、食器や調理器具などの配布と食材の配布を担当し、キャンプ場に着いた早々打ち合わせ開始。おとうさんボランティアは、トラックの荷下ろしと本部テントの設営、毛布と薪の運搬を担当します。みなさんが手際よく作業を行っているのに、自分だけボーっとしてはいられません。「ボランティアで来たからには3日間頑張るぞ!」という意気込みで動きました。


 ボランティアは生徒が危険な行為をしない限りは生徒のやることを黙って見守ることがルールなので、初めての薪割りも危なくないよう生徒たちの様子を見守っていました。生徒同士でああしたらよいとかこうしたらよいとか言い合いながら薪割りに取り組んでいます。子供って一つのことを覚えるとそれが面白くってそればっかり続けるのですね。不思議だなあと思ったことは、なたで薪を割れるようになると、ドンドン小さく割ってお箸を作っているのではないかと思うぐらいまで小さく割る生徒がいたのです。その光景が面白くてずっと眺めていました。
 食事の準備も大変です。野外活動では火のつけ方から道具の使い方、調理の方法など家庭では味わえない体験をするので、生徒たちはかなり戸惑ったかもしれませんが、食事の準備を経験するたびに火のつけ方が早くなり、道具の使い方も少しずつ慣れてきました。また、班長の指示もうまく伝わるようになってきました。一番よかったのは全員が自分たちに与えられた仕事を責任持って働いていたということです。食事の班によっては、ゲスト(先生やボランティア父母)の食事を用意するのを忘れていたという班もあったのですが、あとで分けてくれたということなので問題はならなかったようです。
生徒たちが作った心のこもった食事おいしかったです。3日間ご馳走様でした。
 開村式から降り続いていた雨は、オリエンテーリングが始まる頃は奇跡的に止んでいました。
ルールの説明と諸注意を聞いたあと、スタートの合図で生徒たちは自分たちが作った班旗を持ち優勝を目指してクモの子を散らすかのようにスタート地点を後にしました。沢を歩いたり山の斜面をよじ登ったり子供たちは大人では考えられない行動にハラハラドキドキです。
 我々は生徒が危険なコースに行かないよう危ないポイントに待機して、迷い込もうとした生徒を正常なコースに戻す役割を担当しましたが、何事もなく午後3時のタイムアップとなり、我々の仕事も終了しました。我々を迎えに来た茗溪号(車)に入った無線連絡で、生徒たちは無事全員ゴールした、という情報に胸を撫で下ろしました。
天候も何とか持ち直して、里美キャンプでの最大のイベントであるキャンプファイヤーが始まりました。
夏休みが終わって10日足らずでキャンプファイヤーの出し物など準備をしなければなりません。その間も夏休みの課題テストなどキャンプまで慌しい日々を過ごして来た生徒たち、また、台風9号での完全下校による諸活動停止、いつ練習できる時間があったの?と思うほどキャンプファイヤーでのクラスの出し物はどこのクラスもまとまっていました。茗溪の生徒たちは集中力が違いますね。さすがです。クラスの出し物は歌あり、創作劇あり、ダンスありで、演技している方も真剣、観ている方も大きな声援を送るなど大変盛り上がりました。
 エンディングでは、里美キャンプのテーマソングの大合唱を行いました。文化祭のオープニングステージの再現かと思うほど素晴らしい歌声を聴くことができました。そして最後に、この友情をいつまでも忘れずに大切にしておきたい願いを「友情の火」に誓い、楽しかったキャンプファイヤーが終わりました。あっという間に終わったキャンプファイヤーの余韻は就寝時間まで続いていました。
3日目は朝から雨が降っていましたが、生徒たちは疲れ知らずの元気一杯です。半そでシャツで雨に濡れながらも食事の準備に走り回る生徒たち。熱を出さなければいいのになあと心配したりもしました。
朝食後に毛布の回収を行いました。生徒たちは各自の使った毛布をテントサイトから運んできましたが、自分は雨に濡れても毛布は濡らさないようにして運ぶ姿。借りた物を大事にしたいという気持ちが伝わってきました。
食器や調理用具の片付けは大変な作業でした。きれいに洗ってあるか、数量の過不足はないかをチェックし、限られた時間内に作業を終わらせなければなりません。また、食器や調理用具にはどの班が使っているのかわかるように一つ一つにシールが貼ってあったのですが、そのシールが剥がされているかをチェックしなければなりません。おかあさんボランティアだけでは人手が足りないので、おとうさんボランティアも一緒になって作業を行いました。おかあさんボランティアから「手の空いているお父さん、生徒たちに鉄板に油塗らせて」とか「○○さん、食器のチェックをお願い」とか、てきぱきとした指示で作業に拍車がかかります。生徒たちに食器類に汚れが残っていると洗い直しを指示しても文句一つ言わず素直に応じています。素晴らしいチームワークです。みんなの協力で片付け作業はあっという間に終わりました。
最後に、今回キャンプに参加して感じたことは、大人として手助けしようと思ったことは数え切れないほどありましたが、生徒たち自身で解決方法を考え問題を乗り切っていく姿にたくましさを感じました。また、みんなで協力しあって一つ一つのプログラムを着実に成し遂げた達成感に喜びと感動を覚えました。学校に無事帰ってきた生徒たちの姿は、また一回り成長したような気がしました。そして、茗溪学園のよさをまた一つ実感したような気がしました。里美キャンプに参加して本当によかったです。
来年の筑波キャンプはどんなキャンプになるのでしょうか、来年がまた楽しみです。